設立趣意書
我が国は急速に高齢化し、21世紀には4人に1人が65歳以上という高齢社会となる。この高齢社会に備えるためには、できるだけお年寄りが住み慣れた地域において安心して暮らせることが求められている。しかし、現在、多くの人々が自らの老後の、特に健康問題に不安を感じて暮らしているが、今後の在宅医療の推進は、こうした老後の不安を解消するものである。 このため、平成3年の老人保健法の改正により老人訪問看護制度が創設され、平成4年4月より実施され、現在、全国に老人訪問看護ステーションが開設され、数多くのお年寄りの在宅療養生活を支援するのに至ってる。 このような状況を踏まえ、平成6年6月に老人訪問看護事業協会を発足し、これまで、老人訪問看護ステーション研修会の実施、協会機関誌の発行等を通じ、老人訪問看護事業者の連携を推進することにより、老人訪問看護事業の発展に寄与してきたところである。 保健医療・福祉行政の推進については、平成6年6月の健康保険法等の一部改正において、訪問看護事業の対象が老人以外の末期がん患者、難病患者等に拡大され、また、平成6年12月に策定された新ゴールドプランにおいても、老人訪問看護ステーションは、平成11年度までに5,000か所整備することと新たに位置づけられるなど、訪問看護事業を取り巻く環境は大きく変化してきている。 このように、今後の高齢社会において、訪問看護事業に寄せられる期待、果たしていく役割は非常に大きいものであり、老人訪問看護ステーションの整備が喫緊の課題となっている。しかし、現在の老人訪問看護ステーション数も平成11年度の目標値にはほど遠く、今後急速に整備していくための新方策を講じる必要がある。 したがって、この度、社団法人全国訪問看護事業協会を設立し、訪問看護事業に関する全国的な情報の拠点として、訪問看護事業の普及活動、広報活動を行い、老人訪問看護ステーションの整備促進の一助とするとともに、平成6年の老人保健法の改正においてサービスの自己評価の努力義務が規定されたことを受け、訪問看護事業のサービスの質の向上に関する研究等を行い、訪問看護事業者の資質の向上を図ることにより、適切な訪問看護事業の発展に寄与しようとするものである。
平成7年7月7日